近年、プレハブ建屋は高品質のものが増えています。
セカンドハウスや離れなどに、あるいは普段使わないものを収納する物置や倉庫などに、プレハブ建屋の購入を検討している方も多いのではないでしょうか?
この記事では、プレハブについての基礎知識と、プレハブ建屋を取得するなら知っておきたい固定資産税、耐用年数、建築確認について、ポイントを絞ってまとめています。最後に注意点もお伝えしているので、参考にしてください。
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プレハブ建屋って?
プレハブが何か、すでにご存知の方も多いと思いますが、定義が曖昧な方もいるかもしれませんので、まずは簡単にどんなものかご説明します。
プレハブ建屋の基礎知識
「プレハブ」とは英語の「Prefabrication(プレファブリケーション)」「Prefabricated(プレファブリケーテッド)」などの略で、建築工法のひとつです。Prefab(プレファブ)が、プレハブになったという訳ですね。
建物を構成するさまざまな部材、例えば躯体(骨組み)や屋根、床、外壁、建具にサッシなどをあらかじめ工場で製造し、現場に持ち込んで組み立てるという工法です。
プレハブ工法によって建築された建屋を総称して「プレハブ建屋(プレハブ小屋・プレハブ住宅・プレハブ倉庫など)」と呼んでいます。
新築はもちろん、中古でも販売されており、物置や倉庫といった使い方から、作業員の詰所、書斎、勉強部屋、セカンドハウスなど、さまざまな目的でプレハブ建屋が利用されています。
軽量鉄骨造が主流のため、木造と違って「反り」などもなく、また近年では、耐久性や耐震性に優れた高品質のプレハブ建屋も数多く製造されています。
プレハブ建屋のメリット・デメリット
プレハブ建屋にはメリットもデメリットもあります。特に次のような点は押さえておきましょう。
プレハブ建屋のメリット
- 工場で製造するため品質が安定している
- 工期が短く済む
- 建築費用を抑えられる
部材を工場で大量生産しているため、精度や品質が一定以上の水準に保たれており、非常に安定しています。
また、現場では基本的に組み立てるだけなので、一般的な工法で建築するよりも工期が短く済みます。
大量生産していることと、工期が短く済むことから、建築にかかる費用も大きく抑えられるのがメリットです。
プレハブ建屋のデメリット
- デザインや間取りに限界がある
- 耐火性に若干の不安が残る
- メンテナンスが必要
デザインや間取りの「自由度」という点において、一般的な工法よりも制限があります。
ただし、モジュール(基準寸法)化されているため、組み合わせ次第では、思い描く形に近いプレハブ建屋にすることも可能です。
また、木造と比べて熱に弱く、火災には注意する必要があります。
防錆加工を施しているものの、経年劣化やサビにも弱いため、定期的なメンテナンスが大切です。
プレハブ建屋の耐用年数は?
プレハブ建屋を取得した場合、耐用年数はどれくらいなのか、気になる方もいるでしょう。
耐用年数と言っても、減価償却における「法定耐用年数」と、単純に「寿命」としての耐用年数がありますので、それぞれ一般的な年数をお伝えします。
プレハブ建屋の法定耐用年数
プレハブ建屋の法定耐用年数は、用途や使用されている軽量鉄骨の厚さなどによって細かく分けられています。
以下は、用途別の一般的な法定耐用年数です。
店舗用・住宅用のもの
厚さ 法定耐用年数
3mm以下 19年
3mm超4mm以下 27年
4mm超 34年
工場用・倉庫用のもの
厚さ 法定耐用年数
3mm以下 17年
3mm超4mm以下 24年
4mm超 31年
事務所用のもの
厚さ 法定耐用年数
3mm以下 22年
3mm超4mm以下 30年
4mm超 38年
このように、用途と軽量鉄骨の厚さによって変わってきます。
なお、上記は国税庁の「平成30年分 確定申告書等作成コーナー よくある質問」を参考にしています。その他の用途についても記載されているので、ぜひ参考にしてください。
プレハブ建屋の寿命は?
法定耐用年数と、実際の「寿命」という意味での耐用年数は異なります。
一般的には15年〜20年程度と言われてきましたが、近年では品質に優れたプレハブ建屋が数多く製造・販売されています。
中古のプレハブ建屋でも、メンテナンスをしっかり施していれば、さらに15年〜20年程度、使い続けられるものもあります。
新築した場合も、サビを防ぐためのメンテナンスをきちんと実施していれば、40年や50年など、長い期間、使い続けることは可能です。
プレハブ建屋は、増床増築・床材の張替え、外壁の再塗装など、メンテナンスが容易におこなえることから、躯体となる軽量鉄骨のサビや劣化に気をつけていれば、多くのケースで長持ちします。
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プレハブ建屋にも固定資産税がかかる?建築確認は必要?
プレハブでも一般的な住宅のように固定資産税がかかるの?勝手に設置しても問題はないの?など、さまざまな疑問をお持ちの方もいるでしょう。
続いては、プレハブ建屋を取得するならぜひ押さえておきたい固定資産税や建築確認について、解説します。
プレハブ建屋と固定資産税
固定資産税の課税対象となる「家屋」は、「不動産登記法」における建物と同義です。
同法では、建物を次のように定義しています。
不動産登記規則第111条における「建物の認定基準」(抜粋)
- 屋根・周壁またはそれらに類するものを有している
- 土地に定着した建造物である
- 目的とする用途に供しうる状態にある
砕いて言えば、屋根があり、3方向以上に壁があり、土地に定着している構造物は建物であり、固定資産税の課税対象となります。
つまり、プレハブ建屋も固定資産税(場所によっては都市計画税も)の課税対象、というわけです。
なお、コンクリートブロックを四隅に置いて、その上にプレハブの物置や小屋などを「設置している」「乗せている」だけという場合、土地に定着しているわけではないので、建物としては認められません。
つまり、固定資産税などの課税対象外ということになります。
ただし、コンクリートブロックの上に設置されていても、基礎が施工されているものであれば、土地に定着している建物扱いになります。
固定資産税の計算方法
プレハブ建屋にかかる固定資産税の計算方法は、一般的な固定資産の計算と同じです。
土地の公的価格や家屋の時価額などをもとに、都道府県や市区町村が算定する「固定資産評価額(3年ごとに見直し)」に、標準税率「1.4%」を掛けて算出します。
固定資産評価額×標準税率1.4%=固定資産税
建築確認とは?
小屋、倉庫、物置、住居…プレハブ建屋はさまざまな目的で使用されていますが、いずれにしても「建築物」を建てる場合に知っておきたいのが「建築確認」です。
建築確認とは、着工前にその計画(建物の設計や敷地内における配置など)が、関連法規に適合しているかどうかを、都道府県または市区町村の建築主事あるいは指定確認検査機関に確認してもらうというものです。
合格すると「確認済証」が交付されます。建築確認の申請が必要なケースでは、この「確認済証」がなければ着工できません。
申請が必要なケースとそうでないケースは、細かく分けられています。ケースバイケースなので、自分がプレハブ建屋を建てようと思っているエリアがどんな区域なのか、確認しておくことが大切です。
都市計画区域外だった場合
建築確認の申請は不要です。
都市計画区域または準都市計画区域だった場合
更地にプレハブ建屋のみを新築するケースでは、申請が必要になります。一方、すでに住宅が建っている土地に新たにプレハブ建屋を増築する場合は、「防火地域(または準防火地域)」かどうか、床面積が「10平米」を超えるかどうか、「用途地域(※)」の指定の有無はどうか、などによって変わってきます。
- 防火地域または準防火地域だった場合→申請が必要
- 防火地域外または準防火地域外で床面積が10平米以内→申請が不要
- 防火地域外または準防火地域外で床面積が10平米を超える→用途無指定なら申請が不要
このように、さまざまな条件によって建築確認が必要かどうかの基準が変わってきます。
事前に、管轄の自治体に問い合わせて確認しておきましょう。
※用途地域とは、その土地の用途が混在するのを防ぐ目的で設けられている、都市計画法で規定されている地域地区のひとつです。
主に「住居」「工業」「商業」の3つに分けられており、さらにその中で「第1種低層住居専用地域」「準工業地域」「近隣商業地域」など12種類にカテゴライズされます。
もし、確認申請を怠ってプレハブ建屋を建てたら?
ついうっかり、確認申請が必要なケースで申請を怠り、勝手にプレハブ建屋を建ててしまったらどうなるのでしょうか?
答えは「違法建築物になる」です。
これは、プレハブ建屋が違法、といった類ではなく、「確認申請を怠った」こと自体がすでに違法行為という解釈になります。
たとえプレハブ建屋で、かつ自分が所有する土地の敷地内であっても、「建物」を建築する場合は状況に応じて建築確認が必要になることがあります。
違法建築物と認められた場合、撤去や使用禁止などが求められることもあります。
また、建築確認を申請して合格した場合でも、居住用だったものを途中から店舗として使うようになった、など「許可を受けたときの用途とは違う用途に供している」場合なども違反となる可能性があるため、注意が必要です。
少しでも気になる点、不安な点があれば、着工前に自治体の担当窓口に確認しておくことをおすすめします。
プレハブ倉庫のまとめ
今回はプレハブ建屋の基礎知識をはじめ、法定耐用年数や寿命、固定資産税や建築確認申請の必要なケース・不要なケースなどを、ポイントを絞って解説してきました。
プレハブ建屋は、リーズナブルで工期も早く、手軽に手に入れられる建築物として人気があります。
セカンドハウスに、趣味の部屋に、物置や倉庫になど幅広い使い方ができるうえ、費用も大きく抑えられ、土地に定着させれば固定資産税の節税効果も見込めます。
ただし、お伝えしたように耐火性に不安が残る点や、デザインなどの自由度がそこまで高くない点などのデメリットもあります。
また、建築確認の申請などの手続きも、必要に応じておこなわなければなりません。
プレハブ建屋を取得する際は、そうしたデメリットやルールもきちんと把握して、じっくり検討しましょう。
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