マンションのスケルトン解体をするには、どれくらいの費用を見積もっておけばよいのでしょうか?
実際の施工例を交えて、費用相場やメリット・デメリットなどを解説します。
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マンションのスケルトン解体とは?費用はどれくらいが相場?
マンションのスケルトン解体とは、一般的にリフォームを目的に行われる解体工法のひとつです。
スケルトン解体の基礎知識とあわせて、費用の相場を見ていきましょう。
スケルトン解体とは?
建物の「躯体(くたい)」のみを残して解体する工事のことです。躯体とは、具体的に次のような箇所を言います。
建物の躯体
基礎、土台、柱、梁(はり)、外壁、床、筋交い(すじかい)、軒、棟木、そのほか衝撃を支えるための建材など
一般的にはこれらを躯体と言います。筋交いとは、柱と柱の間などに斜め(×など)に組み込んだ木材のことです。
躯体を残すことで、建物の強度を保ったまま間取りを変えるといったリフォーム工事が行えます。
マンションのスケルトン解体の費用相場は?
マンションのスケルトン解体にかかる実際の費用はケースバイケースですが、おおよその目安を把握しておくことは大切です。
工事にはいくつか種類がありますが、たとえば以下のようになります。
- 解体および撤去:30~80万円程度
- 補強工事費用:10~50万円程度
- 諸費用:10〜30万円程度
さらに、マンションをスケルトン解体したあとはリフォーム工事をすることになりますので、その費用も計算しておかなければなりません。
- 設備の購入費用:100~500万円程度
- 設備の設置工事費用:100~150万円
- 諸費用:30万~100万円程度
やや幅広いですが、設備はどういったメーカー、グレードのものを採用するかによって大きく変わります。
トータルすると、マンションのスケルトン解体にかかる費用相場は【280〜910万円程度】、ざっくり見て【300〜1,000万円程度】と思っておくとよいでしょう。
一般的な2LDK(約60㎡)のマンションをスケルトン解体した場合、坪単価で【17〜56万円程度】を見積もっておきましょう。
スケルトン解体のメリット・デメリット
- 新築と同じような自由度の高いプランニングができる
- 新築するよりも大幅に費用を抑えることができる
- 通常では見えない部分の点検、補修などが行える
マンションのスケルトン解体にはこのようなメリットがあります。
特に、スケルトン解体をしなければ知ることができなかった「腐食」「害虫被害」などがあった場合、補修することで建物の耐久性を向上させられるため、メリットが大きいと言えるでしょう。
- すべて思い通りの間取りにできるとは限らない
- 建ぺい率や容積率といった制限を受けることがある
- 外観はほとんど変化しない
- 補修や補強が必要になればその分費用がかかる
一方で、マンションのスケルトン解体にはこうしたデメリット(リスク?)もあります。
たとえば、思い描いていた間取りにするには「邪魔だな〜」と思う柱があっても、それが建物の強度を保つために必要な柱であれば、取り除くことはできません。
建ぺい率、容積率などは景観を損ねたり都市計画の進行を妨げたりしないよう、建築基準法で定められています。
プランニングの自由度が高いとはいえ、制限内でしかリフォームすることができません。
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実例をもとにマンションのスケルトン解体の費用例を紹介!
とはいえ、マンションのスケルトン解体にかかる費用はケースバイケースです。実際には面積その他の条件によって大きく変わってきます。
より具体的にイメージしやすいように、実例をもとにした、マンションのスケルトン解体の費用例を見てみましょう。
なお、以下で紹介しているのは「スケルトン解体費用」の例です。
その後の「リフォーム費用」は含まれませんので、先ほどお伝えした相場よりも大幅に安く感じるかもしれません。
- 東京都板橋区:延床面積30坪、解体費用約92万円(坪あたり約30,667円)
- 千葉県柏市:延床面積15坪、解体費用約69万円(坪あたり46,000円)
- 東京都大田区:延床面積30坪、解体費用約83万円(坪あたり約27,667円)
- 大阪府大阪市:延床面積24坪、解体費用約84万円(坪あたり35,000円)
- 東京都千代田区:延床面積30坪、解体費用約97万円(坪あたり約32,333円)
ごく一例のためこれだけで「相場」としてしまうには無理がありますが、マンションのスケルトン解体費用は坪あたり「おおよそ2万円台後半〜5万円」と考えて差し支えないでしょう。
あとは、どういった間取りにし、どういった設備を導入するか、補修・補強といった工事が必要になるかなどによって変わってきます。
費用以外にもある!マンションのスケルトン解体の注意点
ここまで、マンションのスケルトン解体の費用について解説してきましたが、実は費用以外にも着目しなければならない注意点があります。
あわせて覚えておきましょう。
旧耐震基準のマンションは同意が必要
中古マンションを購入してスケルトン解体&リフォームを考えている方は、旧耐震基準の(1981年以前に建てられた)マンションに注意しましょう。
こうしたマンションは住民が合意しなければ補強工事を行えません。
共用部を確認しておく
共用部はマンションごとに異なります。
こうした場所はスケルトン解体やリフォーム工事などが行えませんので、事前に確認しておきましょう。
マンションの管理組合の承認を得る必要がある
マンションのスケルトン解体およびリフォームは、管理組合の承認が必要です。
防音材の使用など管理組合ごとに規定がありますので、必ず先に承認を得ておきましょう。
壁式工法のマンションは注意が必要
板状の壁と床だけで構成する工法を壁式工法と言います。
室内に梁などが出ないため空間を広く使えますが、壁そのものが「躯体」となっているため取り除くことができず、リフォームの自由度が低下します。
増築もできないため、浴槽選びなども重要になってきます。
マンションのスケルトン解体の業者選びと費用を抑えるコツ
最後に、マンションのスケルトン解体をお願いする業者選び、および費用を少しでも抑えるコツをお伝えします。
解体業者選びのコツ
ネット検索で上位にくる業者が必ずしも「優良」とは言えないのが、業者選びに迷ってしまう大きな要因ですよね。
ポイントは「施工事例(実績)」が豊富かどうか、「地域密着」で「長年」経営しているか、「対応がしっかりしているか」などです。
こうした業者なら信頼性や安心感が持てるでしょう。
特に地域密着の業者は、その地域の特性(土地なども踏まえ)を熟知しています。
長年経営しているとあれば、地元の方からも信頼されている業者と見てよいでしょう。
加えて、「見積もり」にも着目しましょう。
- 見積もりの内容が分かりやすい(専門用語などもきちんと説明してくれる)
- どの工事にいくらかかるのかが明確
- お願いしたい工事がすべてきちんと含まれている
- 不明瞭な項目や曖昧な金額がない
など安心できる見積もりを出してくれる業者なら、お願いしやすいですよね。
費用を少しでも抑えるためのコツ
マンションのスケルトン解体にはある程度の費用がかかりますから、大幅に安く抑えるということは難しいです。
ただ、少しでも費用を抑えるには
- 解体業者に直接依頼する
といったコツがあります。
複数の解体業者を一度に紹介してくれるマッチングサイト、一括見積りサイトなどもありますが、そうしたサービスを利用すると中間マージンが発生します。
解体費用に上乗せされている可能性もあるため、解体業者に直接お願いしましょう。
後悔しないためにも、マンションのスケルトン解体をお願いする業者はじっくり選んでくださいね!
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