遺品整理の費用相場をご紹介
「遺品整理」 あまり馴染のない言葉ですよね。
しかし、最近よくテレビなどで話題にもなっています。
亡くなられた方の所有物を方付ける… 簡単に聞こえるかもしれませんが、その内容やそこに至るまでの経緯には深いものがあります。
今回はこの「遺品整理」について、遺品整理士の資格を持つ者としてご説明させていただきます。
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遺品整理とは?
ご家族が亡くなられ、残された故人の生活家財を適正に方付け・処分する業務の事を言います。
ただ、遺品を処分するだけでなくご遺族のお気持ちをくみ取りながら丁寧な整理業務を行う仕事であると思います。
遺品整理における供養はなぜ必要とされているの?
遺品が故人の思い出の詰まった品物という考えが強いため、いらない物かも知れませんが雑に処分したくないという思いがご家族にはあると思います。
そういった思い出の詰まった遺品を専門のお寺などで供養してもらえば気持ち的に安心できるという思いから供養が必要だと思います。
遺品処分の取り扱いってどうなるの?
遺品を処分する場合、その廃材の取り扱いは「一般廃棄物」となります。
ですので、遺品整理~処分を行える業者はこの一般廃棄物の許可を持つ業者に限られます。
一般廃棄物と産業廃棄物の違いはどこに?
産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物であり、20種類制定されています。
それ以外を一般廃棄物として扱う必要があります。
主に、家庭から排出された廃棄物(遺品なども含め)を一般廃棄物と言います。
なお、産業廃棄物と一般廃棄物を取り扱う資格も別に決められています。
一般廃棄物とは…?
一般廃棄物とは、廃棄物処理法で規定されている産業廃棄物以外のものを指します。
一般廃棄物とは、多くが家庭で排出されるごみ「家庭系一般廃棄物」ですが、中には事業所から排出される産業廃棄物以外の廃棄物にあたる「事業系一般廃棄物」も含まれています。
各市町村の許可形態となります。許可の無い者は運搬や処分は行えません。
また、廃棄物の収集・運搬に関しては許可が必要です。廃棄物の種類によって産業は器物と一般廃棄物とに分類されます。
尚、不用品であっても有価もしくはプレゼントとして譲り渡す(受ける)場合には、この許可は適用されません。
遺品整理業者を選ぶ際に気を付けなければならないことは?
個人の勝手な判断で処理を考えない業者をお選び下さい。
不用品といえど遺品であるので、ご遺族の気持ちを第一に考えて要務を行う必要があると思います。
必要な物、本当に不要な物などを確認しながら処理すべきだと思います。
また、遺品の処理以外の業務(供養や消毒、リフォームなど)もしっかり確認し、了承を受けた上で進める必要があります。
故人の死を悲しんでいるご家族に対して、知らない業務だからと高額な見積りを出すことは常識外です。
具体的な内容にし、分かりやすく説明できる良心的な業者をお選び下さい。
見積りを取る際、気をつける事
見積書の明細ですが、遺品整理の何にどれだけの費用が掛かるのかを細かな明細にして提出することが必要だと思います。
遺品整理の費用相場は?
遺品整理の料金は、仕分けにかかる時間や運び出す荷物の量によって変動するので、ほぼ部屋の広さに比例して上がっていくと考えて良いでしょう。
1Rや1Kの部屋でしたら、2トントラック1台で積み込めることが多く、料金相場は5万円から10万円程度となります。
1DKから1LDKの部屋になると、2トントラックが2〜3台、または4トントラックなどが必要となり、料金は12万円から20万円程度と考えられます。
2LDK以上の部屋になると、作業員やトラックの台数も増え、かかる費用も増えていきます。
2LDKで15万円以上、3LDKで25万円以上、4LDKでは35万円以上が相場となっています。
また、間取りではなく部屋の面積や体積によって料金を算出する場合もあります。
〇〇立方メートルにつき◆◆円という感じですね。
どちらの場合でも、部屋が広くなればなるほど、業者間の差額は広がっていきますので、金額の詳細をしっかりと説明してもらい、確認する事が大切かと思います。
遺品整理を取り巻く現状とは?
未婚者や子どものいない家庭の増加
核家族化が進むと同時に、高齢化社会になり独居老人が増えています。
親子が別々に暮す世帯が増えているため、孤独死も増加にあります。
親子の関係が希薄になっているので遺族も遺品の取扱に困ってしまうので、遺品整理業が必要とされるのではないかと思います。
相続放棄する家庭の増加
やはり核家族化による親子関係の希薄が一番の原因かと思われます。
連絡を取り合わなくなる為、実の親子でも気持ち的に思い入れが無くなってしまいます。
故人の遺品であっても手続きが面倒になったりで相続を放棄する人が増えているのだと思います。
遺品の不法投棄
ご遺族にとっては急な事でもあり、普段から携わる仕事でない限り詳しく調べないと分からない業務だと思います。
その部分に付け込んで処分費を浮かせるために不法投棄をする悪徳業者が後を絶たないと聞きます。
遺品に限らず廃棄物の不法投棄は絶対にあってはならない事です。
ご遺族には、こういった業者に依頼しない様に信頼置ける業者に依頼してほしいと思います。
また、業者側からもこういった不安を与えないような自社努力を怠ってはいけないと思います。
高齢者の孤立
少子高齢化が進んでいるうえに、核家族化が増えているため親子間の関係が希薄になっている事が一番の原因とされています。
また、高齢者世帯も増加しており、高齢者が単身になった場合など近所との付き合いも減っており孤立化してしまうケースが多くなっていると思います。
核家族化
核家族とは具体的に、以下である。
① 夫婦とその未婚の子女
② 夫婦のみ
③ 父親または母親とその未婚の子女 のいずれかからなる家族を指す。
日本では核家族世帯が60%近くを占めます。
「核家族」が日本の家族の形態の中心であることは長い間変わっていません。
その内訳は「夫婦のみ」が約20%、「夫婦と子」の形態が約30%、一人親家庭が約8%といったデータがあります。
大家族に比較して、転居や住居の改造など居住に関するフレキシビリティーが高く、親類間のプライバシーが維持しやすいが、多人数で同居する大家族と比べて、親子三世代による家事労働や育児、家内労働の分担がしづらくなる、といった側面もあります。
遺品整理業者以外に必要な関連業種
リサイクル業者
様々な製品や廃棄物・不用品などを再資源化し、製品の原料として利用したり、そのままの状態で売買したりする業者。
不用品買取やリサイクルショップが商売として成り立っている。
運送業者
旅客や貨物の運送にかかる業種、あるいは職業である。
遺品整理の場合、処理せず遺品を運ぶだけであれば、廃棄物を運んだという事では無く、物を届けた、というとらえ方になる。
この場合、代行運送にあたるので「代行してもらう事の権利を委任する「委任状」が必要になる。
お焚き上げ等について、有料で遺品を運ぶ際にも「委任状」が必要になる。
消臭・消毒業者
遺品整理の場合、腐敗臭や生活臭があります。それらの臭いや部屋の消毒をしてくれる業者。
ご遺族や大家さんからの依頼があれば依頼する消臭・消毒の専門業者。
廃棄物収集運搬業者
廃棄物を収集または運搬するために許可を受けた業者。
廃棄物収集運搬を業とする場合に必要な許可制度であり、個人で自分の廃棄物を収集運搬する場合は許可は必要ない。
一般廃棄物と産業廃棄物とに分類され、一般廃棄物は市町村の許可であり、産業廃棄物は都道府県の許可が必要である。
リフォーム業者
住宅などの改築・改装を行う建築業者。
葬儀社
葬儀や祭事の執行を請け負う事業である。
葬儀のみを行う場合は葬儀業ともいうが、石材店や生花店・造花店など葬儀にかかわる業種が兼業することも多く、近年では他業種から参入するケースもある。
葬儀・葬祭の執行には公的な資格等は必要が無く国や地方公共団体の許認可や届出は不要であり、誰が何処でも葬儀社や葬祭業を名乗り営業を行う事が可能である。
厚生労働省の技能認定である葬祭ディレクターや仏事コーディネーター等などの民間資格があるが、これらが無ければ業務が出来ないわけではないために、葬儀に関する民間資格は30近く乱立され、資格商売の様も呈している。
なお、搬送車・霊柩車などを用いて遺体の搬送を行う行為は貨物自動車運送事業に該当するため、貨物自動車運送事業の許可(いわゆる緑ナンバー)が必要である。
清掃業者(ハウスクリーニング業者)
家のお掃除を専門に請け負う「掃除のプロ」を派遣して貰うサービス。
一般的には手に入りにくい専門の道具や洗剤を利用し、綺麗な仕上がりを期待することができる、掃除が苦手な人には心強いサービスなのです。
遺品整理に伴う関連事項は何がある?
不動産の売却や解体
故人の家を売却または解体して土地を売却してほしいなどの依頼があった場合は、専門の業者つまり、不動産屋や解体業者と連携して相談にのる事が必要。
自動車の名義変更及び、廃車手続き
車屋さんなどの専門業者に依頼すれば全て手続きをやってくれるが、費用もかかる。
自分でやる方法もあるが手続きが面倒である。廃車に関しても、同じである。
廃車であれば自動車リサイクル法が適用されるので、リサイクル業者にお願いする方法もある。
故人の保険手続き
まずは、ご遺族の方々に確認してもらいご遺族またはご親類の方々に手続きをしてもらう事が一番かと思います。
手続きの方法としては以下のような手続きがあります。
故人が生命保険に加入していたのなら、保険金を受け取るための手続きが必要です。
まず保険会社に連絡をして、被保険者(故人)の氏名、死亡年月日、生命保険証番号、死因などを伝えます。すると保険会社から後日、死亡保険金請求書が送られてくるので、記入し、請求に必要な書類も揃えて提出します。
必要書類というのは一般に、保険証書、最終の保険料領収書、死亡診断書、被保険者の除籍抄本、受取人の戸籍抄本、印鑑証明書、などです。
また、事故死の場合は、以上の書類の他に警察の事故証明やしたい検案書の写し、保険会社指定の死亡診断書、事故について報道した新聞記事などの提出を求められることもあるようです。
故人の銀行口座手続き
銀行が、名義人の死亡を知ったら、その口座は直ちに凍結され、たとえ通帳とハンコ、キャッシュカードと暗証番号がわかっていても、お金はおろせなくなります。
銀行預金は相続財産とされますので、相続人のだれかが勝手に預金をおろして使い込んでしまったら、銀行の責任問題にもなりかねないからです。
相続人全員の名前がわかる戸籍謄本と、相続人全員の実印を押した同意書に印鑑証明書を添えて、窓口に提出します。
詳しい手続きは、銀行によって違います。
故人の口座は解約して全額払い戻して相続人で分けるか、口座名義を相続人の誰かに変更して、引き続き使用します。
なお、判例では、金銭債権は分割債権であり、相続開始と共に法律上当然に分割され、各相続人はその相続分に応じる権利を承継する、となっています。
つまり、遺産分割協議が成立する前でも、自分の法定相続分だけは相続する権利があって、銀行からおろすことができるのです。
とはいえ、銀行はもめごとに巻き込まれるのがきらいですので、通常は応じてくれません。
なるべく穏便にいくのがいいかもしれません。
遺品整理の流れ
ご遺族からご依頼を受けてから、当日業務に至るまでの流れについて、簡潔にご説明いたします。
① ご依頼を受ける
ご遺族から直接かもしくは業者から遺品整理のご依頼連絡を受ける。
現地にて立会い、確認させてもらい必要事項の打合せを行う。
② 見積りを出す
現地確認した内容で見積書を作成する。
まとまり次第、ご遺族に提出し作業内容の説明を行う。
③ 契約する
提出した見積り内容と諸条件が合えば契約となる。
この時、詳しい内容の契約書があると尚良い。
④ 関連業者との連絡・打合せ
一般廃棄物処理業者や清掃・消臭業者など必要になる業種と連絡を取る。
詳しい作業内容を打合せし、実作業に入る日程を決める。
⑤ 実作業に入る
実働整理作業。
片付けしていくうちに、判断の困るような遺品が出てきらその都度でもご遺族に確認してもらう。
立会いが無理な場合は、写真判定や電話連絡等でも良い。
⑥ 確認してもらい、清算する
作業が終了したら、現地を確認してもらう。可能な限り、現地立会いが望ましい。
現地立会いが無理な場合には、写真確認等も行う。
実例 この様なご依頼がありました
「判断にこまったときには・・・」
遺品の中に、不用品か否か判断が困る品物があったとしたら、まずはご遺族に連絡をとって、判断を仰ぐ必要があります。
立会いしてもらうのが一番でしょうが、どうしても現地立会いが無理な場合は、写真を見てもらったり、電話で連絡を取り合い確認しながら作業を進める必要があります。
「不要物を処理してほしい・・・」
遺品を不要品として処分する場合には、一般廃棄物として処理を行わなければなりません。
したがって、その地域から許可を得ている一般廃棄物処理業者に依頼をして処理してもらうようにします。
「遺品を供養してほしいのですが・・・」
遺品の供養としては、檀家となっているお寺があるとしたら、そちらにお願いしをして住職より供養してもらいます。
特に決まったお寺や神社がなければ、こちらでお寺などを選定し、供養のお願いをします。
また、遺品のお焚き上げがのご要望があれば専門の焼却施設へ運び、お焚き上げをしてもらいます。
お焚き上げには焼却炉しての許可を得ている施設が必要になります。野焼のような形は違法となりますのでやってはいけません。
近くにお焚き上げが出来る施設があれば良いのですが、無い場合には焚き上げ協会などに送って処理してもらうなどします。
「においが気になるので・・・」
遺品整理後の消臭および消毒のご要望があった場合には、専門の消臭・消毒業者に依頼して作業を行ってもらいます。
さらに、原状回復などのご依頼があれば、リフォーム業者と打合せを行い、どの様なリフォームが必要かなどを施主様よりご判断頂きます。
「亡くなった方の部屋を・・・」
遺品と共にお部屋も供養してほしい。
整理作業に入る前にお寺さんなどに部屋のお祓いを依頼します。
ご遺族様も立会いでお祓いをしてもらい、心の整理がついた段階で整理作業に入ります。
遺品の方付け時も、必要な物と不要品とを確認してもらいながら作業を進め、不要品でもお焚き上げ供養の要望があれば、その品物をお焚き上げの施設にて供養してもらいます。
「この先、家をどうすれば・・・」
どの状態まで綺麗にするか?清掃などで良いのか?それともリフォーム工事が必要なのか?また、この先どこまで家を残しておくのか?などもしっかりと打合せを行ってください。
ご遺族のご要望が固まった段階で、原状回復作業の見積もりをもらって下さい。
遺品整理に関わるキーワード
運送業と一般廃棄物の運搬との違いとは?
まずは、許可制度が違います。
運送業はお客様の品物を届ける(運搬する)業務であり専用の許可が必要ですが、一般廃棄物の運搬許可は、各自治体より許可を受けた業者しか運べません。
廃棄物処理法で規定されています。
それに違反した場合は、罰則が課せられます。
遺品と不要物との違いとは?
法律的な区分けはありません。
遺品も必要なければ不要品ではありますが、やはり大切なご家族が使われていた品物ですので、故人の気持ちがこもっている品物として取り扱う必要があると思います。
ただの家庭ごみとして扱ってはいけないと思います。
また、ご遺族の知らない品物もある場合があるので、確認が必要かと思います。
お部屋のお祓いを依頼する場合はどうすれば?
お祓いのご依頼があった場合には、宗教的な確認が必要かと思いますが、基本的には檀家であるお寺のご住職に依頼し、可能であれば一緒に立ち会っていただきお祓いをすべきだと思います。
遺品整理を行うにあたり、行政機関との関わりは必要か?
遺品は一般廃棄物の区分けになります。
その為、各自治体によって規制が違うため、情報の入手として行政との関わりが必要だと思います。
遺品整理は慎重に
不要品であっても、故人が生前大切に使っていた品物なので、ただのゴミとして扱うのではなく、丁寧な対応で処理を行う姿勢が必要だと思います。
また、すべてお任せでとのご依頼でも、判断の付かない遺品等はご遺族に確認して処理を行う業者が望ましいですね。
核家族化などにより独居老人が増えてきています。
老人が一人で暮らしていると、周囲との関係も希薄になってしまい、生存の確認すら不明な状態にもなりかねません。
もし、孤独状態でなくなった場合など、周囲の人たちも気づかず、何週間も経ってから発見されてしまうケースも多いと聞きます。
今後さらに高齢化が進んでいくので、独居老人が増え、さらには孤独死も増えていう事が問題とされています。
地域との関係性を持って、周りの皆が気づかう社会になる事が今後ますます必要となって来るのではないでしょうか?
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