空き家をそのまま放置しておくと倒壊の危険性や固定資産税が増える可能性など、いろんな問題が発生します。
かといってなかなか売れずに困っている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、空き家の処分や売却の際に役立つ補助金とサポートについて説明します。
できる限り負担をかけずに処分する方法もご紹介しますので、空き家を保有して困っている方の参考になればと思います。
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空き家の処分や売却が難しい理由
まずは、なぜ空き家の処分や売却が難しくそのまま放置してしまうのか、その理由をご紹介します。
家屋を残すと買い手がつかない
居住せずに空き家となった家屋は劣化が早く、再び居住できるようにするには相当の修繕が必要となります。
このような空き家を売却するのは、なかなか難しいものです。
買い手とすれば、老朽化した家屋を修繕するか、あるいは取り壊して新築するかを選択しなければなりません。
ただし修繕するといっても場合によれば耐震補強工事も必要ですし、新築するのとほとんど変わらない費用となるケースもあるでしょう。
家屋を取り壊すとなれば解体費用が発生します。これらの負担をかけてまで、わざわざ空き家を購入する理由があるのでしょうか。
売り手としては相当に売却価格を安くしなければ、おそらく買い手はつかないでしょう。
空き家を解体することができない
それでは老朽化した家屋を解体して、更地として売却すればよいのでは、という話になります。
更地であれば買い手は好きなように設計して家を建てることができます。
しかし、空き家を解体して更地にすることには、2つの問題点があります。
まず1つは、その空き家が再建築不可物件となっている可能性があるということです。
再建築不可物件とは、建築基準法で定められた道路への、接地条件(接道義務)を満たしていない土地のことです。
この接道義務が定められたのは1950年ですが、その前に建てられた家屋を修繕しながら使用していた空き家は、解体してしまうと家屋が建てられなくなります。
ただし道路幅4メートルを確保する接地義務を満たすようにセットバックすれば、つまり道路から離して家屋を建てれば問題はありません。
そのかわり建てられる家は狭くなってしまいます。
このように解体してしまうと用途が限られてしまうため、土地の買い手は限定されてしまいます。
空き家を解体すると固定資産税の負担が増える
建築基準法を満たしている空き家なら更地にしても再建築できるので、空き家を解体して売却すれば問題はないように思えます。
ここで注意が必要なのは、空き家を解体すると固定資産税の負担が増える可能性があるということです。
すでに空き家を所有している方はご存知かと思いますが、住宅が建っている土地の固定資産税には「住宅用地の特例」が適用されるので固定資産税は最大6分の1にまで減額されます。
都市計画税は最大3分の1の減額となります。
しかし空き家を解体して更地にすると、この特例は除外されます。
そのため税金の負担が増えます。
更地にしてすぐに買い手がつけば問題ありませんが、場合によってはなかなか買い手がつかないことも想定されます。
この場合、負担の増えた固定資産税を支払い続けるといった可能性も考えられます。
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空き家の処分や売却に役立つ補助金やサポート
空き家を処分あるいは売却するためには、できる限り負担を減らしたいところです。
実はそのために利用できる自治体の補助金やサポートがあります。どのようなものがあるのかを説明します。
空き家を解体する費用に対する補助金
まずは空き家を解体して更地にする際に役立つ補助金をご紹介します。
これは自治体に申請することで給付される補助金ですが、国の「空き家再生等推進事業」のもとに国から自治体に補助金の一部が補填される仕組みのものです。
そのため、自治体によってその名称は異なりますが、空き家対策の一環としての性質を持つことには変わりありません。
空き家を解体しても必ず補助金がもらえるわけではないので、注意が必要です。
条件は自治体ごとに異なりますが、だいたい共通するのは一定期間(1年間など)住んでいないこと、個人所有であることなどがあります。
また耐震基準に適合しないため倒壊の危険性があることや抵当権がないことなど、自治体ごとに条件が定められているのでチェックが必要です。
補助金の支給額ですが、これも自治体によって違います。
20万円ほどのケースから100万円を超えるケースなどさまざまです。
空き家をリフォームする費用に対する補助金
空き家を解体処分するのではなく、リフォームをすることで補助金が出る自治体もあります。
条件や補助金の上限額は自治体ごとに異なりますが、だいたい20万円から50万円といった範囲になるようです。
空き家を解体してしまうと売却できない場合には、一旦リフォームして売りやすくする必要があります。
その際には、このようなリフォームの補助金制度を利用するとよいでしょう。
空き家を売却するために役立つサポート
空き家を所有していても利用機会がなければ放置せざるを得ません。
しかし、放置している空き家が倒壊の危険性があるなどの条件を満たす「特定空家」に指定されると、固定資産税の減額対象から除外され税金の負担が増えるようになります。
かといって処分もできず売却先もなかなか見つからないというケースは少なくないでしょう。
しかし、そのような空き家でも利用価値を見いだす人はいますし、利活用できる空き家を探してある人が見つかれば売却も可能となります。
そこで、空き家を売却したい人と空き家を利活用したいという人のマッチングをする、「空き家バンク」というサポート制度が利用できます。
この空き家バンクは自治体が直接運営するケースや、自治体から依頼を受けた団体が運営するケースがあります。
空き家バンクは営利目的で運営されるわけではないので、登録も利用も費用はかかりません。
運営の方法は、自治体のホームページで売り出している空き家を紹介し、利用希望者が現れれば自治体から所有者に連絡するか、あるいは直接利用希望者が所有者に連絡する形となります。
売買契約をする際には、不動産会社が仲介に入るので、トラブルは回避できます。
空き家を適切に処分あるいは売却する方法
それではこれらの補助金やサポートを利用することで、どのように空き家を処分あるいは売却すればよいのかをご紹介します。
空き家を解体して売却する方法
空き家を解体して更地にすると、買い手は住宅を建築するか、再建築不可物件でも駐車場として利用することが可能となります。
解体のための費用はかかりますが、多くの自治体ではその費用の一部を補助金として支給しています。
また現金での支払いが困難であれば、銀行などが空き家の「解体ローン」というものを提供しています。
たとえばJAバンクでは、JAの組合員に向けて空き家解体ローンを固定金利年1.5%で提供しています。
もちろん更地にしてしまうと固定資産税の負担が増える可能性があるので、事前に更地の需要について調べておくことが必要です。
リフォームしてから売却する方法
駐車場としてのニーズが期待できない場所であれば、住宅用途での売却が必要です。
しかし再建築不可物件であれば解体はできないので、ある程度はリフォームが必要となります。
この場合の補助金の利用には、注意すべきことがいくつかあります。
まず居住目的のリフォームに対する補助金は、売却を前提とするのてあれば利用できないということです。
そのため、リフォーム後に売却できる補助金なのかどうかを確認しておく必要があります。
あるいは一般の住宅としてではなく、賃貸物件としてリフォームする方法もあります。
この場合、「住宅セーフティネット整備推進事業」という補助金制度を利用すれば、賃貸目的での改修工事に対して補助金が支給されます。
ただし注意点としてこの補助金制度を利用ふるためには、「住宅確保要配慮者」に向けて貸し出すことが条件になります。
住宅確保要配慮者とは、高齢者世帯や障がい者等世帯、子育て世帯などです。
さらに入居者募集から3カ月以上経過していることに加えて、バリアフリー改修工事や耐震改修工事など指定された工事を行うことなど条件があります。
このように利用価値を高めたうえで、空き家バンクに登録をしておけば、その物件の利用価値を見いだせる人を探して売却することが可能となります。
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空き家の処分に補助金まとめ
利用機会がなく処分や売却が難しい空き家を所有していると、倒壊の危険性や「特定空家等」に指定されて固定資産税の負担が増加する可能性が生じます。
そこで、国や自治体が用意している補助金制度やサポートをうまく活用することで、売却する可能性が高まります。